お客さまの声から生まれた新製品! 車いすのタイヤ掃除をサポート
山崎産業では、清掃用品だけでなく、介護分野においても製品を開発・製造を行っています。今回はメディカルケア事業部で開発した、車いすのタイヤ掃除をサポートする製品「クリサポ」についてご紹介します。

目次
車いすに乗ったままタイヤ掃除ができる「クリサポ」
「クリサポ」は、ローラー部分に車いすのタイヤをのせ、その場でくるくる回しながら簡単に掃除できる仕組みです。車いすを持ち上げたり、いちいち移乗する手間なく、タイヤの汚れを手軽に拭き取ることができます。
また、車いす利用者自身が車輪を掃除できるため、介助者の負担軽減につながるだけでなく、車いす利用者の「介助者に手間をかけてしまう……」という心理的な負担も和らげることにも役立ちます。
可動スロープで5cmまでの段差を解消。平置きもできます。
シンプルでコンパクトな設計だから、設置や片付けが簡単。持ち運びもできます。
開発のきっかけは、車いすを利用するお子さんを持つお母さんの声
開発のきっかけは、車いすを利用するお子さんを持つお母さんからのご相談でした。お子さんが学校や外出先から帰宅するたび、玄関で車いすのタイヤを雑巾で拭き取る必要があり、負担になっていました。
作業自体は5〜10分程度でも、毎日1〜2回行うため、どうしても手間がかかります。お母さんは、ただ掃除の負担を減らしたいだけでなく、「子どもが自分で掃除できるようにしてあげたい」という思いを持たれていました。これからも車いすで生活することを考えたとき、お子さんが自立できるよう、自分でできることを増やしてあげたいと願っていたのです。
こうした声を受け、メディカルケア事業部では「車いすを利用されている方の毎日を、もっと快適でスムーズにできるのではないか」と考え、この問題に取り組むことにしました。
試行錯誤の連続! より良い製品をめざして
最初は、既存の消毒マットを活用し、タイヤの拭き取りの手間を省けないかと考えました。しかし、タイヤを1回転させるには約2メートルもの長さが必要となり、大型のマットと広いスペースが求められました。さらに、消毒後にタイヤを拭き取る手間が残ってしまうという課題もありました。
そこで、専用製品の必要性を実感し、世の中にない新しい製品の開発に挑戦することに。ただ、前例がないだけにチーム内での製品イメージの共有が難しく、さまざまなアイデアや意見が飛び交いました。そんな中、「本当に必要な機能は何か」「コストとのバランスはどうか」といった点を慎重に検討しながら、時間をかけて開発を進めていきました。
製品化までの道のり
1.コンセプト立案
お客さまのお困りごとをもとに営業担当者がコンセプトを提案。営業と開発との毎週の打ち合わせを通じて、製品のコンセプトやスケッチを固めていきました。
2.アンケート調査
介護関連の展示会でアンケートを実施し、「本当にニーズがあるのか」「実際にどのようなお声があるのか」を調査。得られた意見を、製品の設計や仕様に反映しました。
3.設計・試作
開発本部にてデザイン設計を行い、工場と連携して試作モデルを製作。開発チームメンバーで使用感を確認し、展示会では実際に車いす利用者に試していただきながら、改良を重ねました。
4.最終テスト
量産を前提に改良設計を行い、最終の試作モデルで検証試験を実施。製図して仕様書を作成し、ついに工場で量産化へ!
「こんなのほしかった!」のうれしい反応
製品化が実現した「クリサポ」について、ご利用者さまや福祉用具取扱店の担当者さまの反応をご紹介します。
試用いただいたご利用者さまの様子
お子さんの車いすを初めて購入されたAさん
4歳のお子さんに車いすを購入されたAさんは、タイヤ掃除が大変なため、クリサポを検討されることに。実際にクリサポを試していただいたところ、拭きあげ作業の負担軽減を実感いただくことができました。
10代後半のお子さんが車いすを利用されているBさん
Bさんのお宅では、お子さんに車いすから一度降りてもらい、ご両親が雑巾で拭き上げ作業をされていました。クリサポを試していただいたところ、利用者であるお子さんご自身で後輪の掃除をすることができました! ご両親から「負担軽減と子どもの自立支援につながる」と好評を得ました。
福祉用具取扱店 ご担当者さまのお声
「介助者は後輪、前輪ともに掃除することが多く、その際は身体をかがめなければならず、狭い場所では特に大変です。クリサポがあると、後輪だけでも車いすユーザー本人が清掃できるため、介助者の負担を軽減できます。また、お子さんの場合は特に、自分で行うことで自立心の向上にもつながります。
コロナ禍以降、『外の汚れを室内に持ち込みたくない』というニーズが高まり、タイヤ掃除についての相談が増えていました。そんな中、“車輪を拭く”ことに着目した製品が誕生し、とてもうれしく思います。」
クリサポは、ご家庭はもちろん、介護施設や体育館などの公共施設、旅館など、さまざまな場所で活用できます。タイヤ掃除をスムーズにすることで、車いすを利用される方の「お出かけしたい」という気持ちに寄り添い、より充実した毎日をサポートします。
メディカルケア事業部では、お客さまの声をもとに、さまざまな製品を開発・展開しています。これからも、ご利用者さまや介護施設の方々、福祉業界の専門職の方の意見を取り入れながら、暮らしの課題を解決し、社会に貢献できる製品づくりに取り組んでいきます。

第五営業部
鈴木 光彦
メディカルケア事業(医療・介護業界向け商品)を担当をしており、クリサポのアイデアを発案。モットーは「信頼は誠実から」。
資格:福祉住環境コーディネーター2級